組合員を訪問

椿原織物株式会社 ツバキハラオリモノ    >>組合員紹介はこちら

「イサムの漉き織」

 椿原織物株式会社は、福井県越前市今立地区(旧今立郡今立町)にある。この今立地区は、1,500年の歴史ある越前和紙の里でもある。
 元々は和紙を使ったふすま芯地の機屋さん。あるきっかけで、この伝統の越前和紙にスフ糸(レーヨン)の織物を漉(す)き込んで、和紙の持つ風合いと織物の丈夫さを兼ね備えた「漉き織」を開発した。和紙もスフ糸も原料は植物のセルロース。自然にやさしい織物である。

新しい分野からの引合いが、向こうからやって来た

 「機密保持契約の問題があって世間に出るまで言えんのやけど、新しい分野からの引合いが向こうからやって来たんや。」
 織物関連の展示会に出ているだけじゃ、その業界の人としか知り合えない。機屋同士で話をしたって仕方ない。同業者以外の目線、目線を変える。ドラッグストアでも食品を売っている時代。どこでどんな事があるかわからない。
 チャンスは回りに幾つでもあるはず。世の中に出て行く必要がある。見てもらう機会を増やす。自分の業界で認められると他の業界でも認められる。 「『カンブリア宮殿』に出るのが夢なんや。」
 「今が良い時代」
 ここ十年ぐらいは悪いが、その前までは商品開発の必要がなかった。親父は親父で広げるのが好きだった。会長(長兄)はお金を数えているだけだった(笑)。頭を下げて回ることは会長には向かない。三男の僕だからできる。
 誠実さがあれば繋がるものがある。 「紙漉(す)きの中に織物を入れて」と近くの紙漉き屋さんに頼んだ。一軒の紙漉き屋さんは綺麗に仕上げてきた。もう一軒は糸が偏っていて最初は失敗作だと思ったが、こちらの方が、変化があっておもしろかった。糸が波打って非常におもしろい変化。(ふくい産業支援センターの)デザインセンターからも面白いと評価を受けた。波目の模様から「ツナミ」と名付けた。漢字の津波ではイメージが悪いのでカタカナにした。
ふすまが売れているならこんな物は生まれてこなかった。チャンスだった。
 「周りの人に助けられている。自分で開発出来る物には限りがある。」

漉き織
PASSAGEN

ドイツのケルンで開催された展示会へ出展

 昨年(2009年1月)ドイツのケルンで開催された展示会へ出展した。直接販売もできた。この展示会の特徴は一般の店舗とのコラボ。街全体が展示会を形成する。
  ※ PASSAGEN 2009 Interior Design Week Köln 19-25 January 2009
 越前市の助成を受けた。 展示会出展もそうだが、海外の展示会開催の情報を得るのもお金がかかる。自分のところは娘がドイツにいるので助かった。他の機屋さんも娘を活用してくれて構わない。イタリアでもフランスでも飛んでいく。
 「苦しい事は楽しい事」
 母ちゃんに「言っている事がわからん」と怒られる。大変だと思っていたって直るわけじゃない。上を向いて解決するか下を向いて解決するかの違い。やった事のない者にはいくら言ってもわからないだろう。一生懸命やっていると周りが助けてくれる。
 こちらから担ぎ商いで行くのと、向こうからやって来るのとは大違い。 向こうからやって来る展示会をしたい。組合の展示会で、おすぎとピーコにボロクソに言われた。「展示会に出すだけで喜んでいる者ばかり、その辺にある物を持ってきただけ。」
 和歌山の株式会社エイガールズの山下雅生社長も言っていた。「最初に展示会に出た時は、展示会に出すことが嬉しかった。しかし出す時にどんな人や顧客が来るかシュミレーションしておきなさい。それが展示会というもの。」
 展示会は、次の物新しい物を見せる場所。ボロクソに言われる事が悪い事ではない。
   「挑戦し続けている。」外国だけは、続けて出して行きたい。

「大切なのは人間関係」

 奥さんの恵さんの担当は、今は経理。良くないときは大変。借り入れとか蟻地獄。嫁に来る前は何もしなくていいって。ところがいきなり事務。でも当時はたくさんの事務員さんがいたから直ぐに工場の仕事。「機草(はたくさ)を拾って来い!」
 何の事かさっぱり分からなかった。その後、織機の掃除、織機の運転、経(たて)糸つなぎ…。何でもさせられた。織機の音にはびっくり、怖かった。
 社長はいつも笑顔で、「沈んでいてもお金は入らない。」 「明るすぎてもねぇ。(社員からは)俺らこんなのに社長だけ…。」
「年が違うさけ、ほやし、ロケーションも違うやろ?ほんなんでやれると思うんや。誰かが助けてくれるって。言っても通じんのや。」
 頼むときは頼む。出来ないことは出来ない。してもらう事と、してもらわん事があるけど、最終的にはこれも人間関係や。調子が良いときはみんな寄ってくるけど、調子が悪くなった時に新しい事を言ってくれるトコがあるのは良い事。
 「新商品を作る時って5年はかかる。」 出会いがあって、商品を作ってって言うまで5年はかかる。 「売れない。売りましょう。」ってお付き合いが来るまでそれくらいはかかる。 「大切なのは人間関係。」    

社長と奥様